再受験 六度目の春

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ルボアール

親鸞学徒の医師たち

  1. 荒廃する医療界に挑む

  2. 心身ともに“抜苦与楽”

  3. 再受験 六度目の春

  4. 葛藤する救命医の心

親鸞会ルボアールとは

Revoir(ルボアール)とは仏語で「再会」の意。ここは学生時代に、共に親鸞会で仏法を学び、卒業して社会人として活躍する親鸞会会員の、現場の声を集めたものです。

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再受験 六度目の春

第3回 再受験 六度目の春 どん底で「この道しかない」

林医学部の合格者を告げる掲示板に、受験番号はなかった。富山医科薬科大学のキャンパス。5度目の挑戦だった。「不合格を認めたくなくて、何度も何度も掲示板を眺めました」。三島敏医師(仮名)は、当時をこう振り返った。

17歳の時に仏縁を結ぶ。「人の命を助ける医師になりたい」と以前から憧れてはいたが、医学部受験を決めたのは、高校3年の時だった。

だが高校ではバレーボールに熱中して、「とても医学部を目指せる成績ではなかった」という。翌春、いったん金沢大学工学部に入り、医学部受験の準備を進めた。週に5日、家庭教師をして生活費を捻出。ご法話にも参詣し、仏法を聞きながらの勉強が、2年、3年と続く。

■一枚の葉書

「不合格で落ち込んでも、キャンパスで友人に仏法の話をしていると、『この道しかない』とまた燃えてくる。その繰り返しでした」。しかし5回目の敗北では、どん底に突き落とされたという。

「道を変えたほうがいいんじゃないか?」。法友の声が頭の中でグルグル渦巻いた。

そんなある日、下宿のアパートに戻ると、靴箱の上に一枚の葉書が置かれていた。

 「春をまて
  泣くな 歎くな 悲しむな」

その場にうずくまり、何度も声に出して読み返した。
「あきらめなくていいんだ……」。以後、勉強は一層熾烈になる。

同じ下宿の友人は、「部屋の床やベッドによく画鋲をまいていました。疲れても休めないようにしたのでしょう」と語る。歩きながら英単語を覚え、食事中やトイレでも参考書を開いた。

■「結果よりもプロセス」

6度目の受験で富山医科薬科大学に合格した。間もなくお葉書が届く。

「合格本当におめでとう。折角医学部員になっても、些細な雑縁で挫折していく者よりも、君の不撓不屈の求法精神を最も尊く、私は思う。仏法は結果よりもプロセスだ。君の将来、大いに期待している」

目頭が熱くなった。「この道を捨てる時は死ぬ時だ……」

医師免許を取得し、大学病院の整形外科などで勤務。関節軟骨破壊酵素の研究で、医学博士号を受けた。現在は総合病院の整形外科医長として勤めている。

■歩いて聞法へ

整形外科の目的は、「クオリティー・オブ・ライフ」(生活の質)を上げること。

「骨折された方なら、まず歩けるようになってほしい。そして聞法に行かれるようになっていただきたい。失敗は許されないから、今も手術で足が震えることがありますね」

能登の病院にいた時、膝下の粉砕骨折で30代の男性が運ばれた。

大学病院の医師は、「難しい」と言ったが、三島医師は、「何とか元の体に」と5時間の手術に臨む。快復した男性は数ヵ月後三島医師を訪ね、元気な笑顔を見せている。

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