「ヤミ金地獄」から救出

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親鸞会同窓会サークル
ルボアール

親鸞学徒の弁護士たち

  1. 「親鸞学徒ならできる」被害者の心の救済

  2. 心にしみた「佐渡オケサ」 暴力団幹部の改心

  3. 「生きる価値があるんや」

  4. 敏腕女性弁護士の奮戦

  5. 「先生にだけ話します」孤独な被告人心開く

  6. 「ヤミ金地獄」から救出ITの推進に挑む

  7. 元暴力団員 塀の中から感謝の手紙

親鸞会ルボアールとは

Revoir(ルボアール)とは仏語で「再会」の意。ここは学生時代に、共に親鸞会で仏法を学び、卒業して社会人として活躍する親鸞会会員の、現場の声を集めたものです。

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「ヤミ金地獄」から救出

第6回 「ヤミ金地獄」から救出 ITの推進に挑む

野原高橋晃弁護士(仮名)の法律事務所には、県外からも相談者が訪れる。それらの人がよく口にするのは、「地元の弁護士は、だれも引き受けてくれなかった」という言葉だ。

近畿地方に住む会社社長もその一人。不況による経営悪化から銀行融資を受けられず、多くのヤミ金融業者から借金した。だが法律違反の高金利のため返済額は雪ダルマ式に膨らみ、倒産寸前に追い込まれた。

周囲の弁護士に相談したが、ことごとく断られる。ヤミ金融に絡む相談は、苦労に見合うだけの報酬が期待できないからだ。

そんな時、「いい先生がいる」と知人から聞く。高橋弁護士のことである。

「ヤミ金融ほど、依頼者が困り果てている事件はありません。来る日も来る日も返済を迫られ、いっそ自殺したら、と思い詰める人が多い。何とか破産させず、元の事業経営に戻れるよう努力しています」と高橋弁護士は話す。

この社長の問題でも、20社以上のヤミ金融業者を相手に、違法性を指摘しながら粘り強く交渉した結果、約1ヵ月後、社長は借金苦から立ち直った。

また、自己破産の申し立ても、弁護士から敬遠される依頼である。
「お金のない人が直面する問題ですので、手数料を払えない人がほとんどです」

中には分割の手数料を支払えなくなる依頼者もある。それでも一度引き受けた仕事は最後までやり遂げる。弁護士が辞めてしまったら、債権者が直接、本人の自宅や勤め先に取り立てに行くからだ。「仏法で教えられる利他の精神をいかに実践していくか、常に考えています。自分は欲の塊ですから」

評判が広がり、事務所に持ち込まれる相談は増え、現在は年間500件を超えている。だが「量」が増えたために、仕事の「質」が落ちてしまう心配が出てきた。依頼人に裁判結果がすぐに伝わらなかったり、出廷日時の連絡が滞るなどのミスも起きやすい。依頼を断らず、さらに安心と満足を与えるには・・・。

そこで考えたのが、「IT(情報技術)の推進」と「弁護士の右腕となるパラリーガル(法律事務職員)の養成」による仕事の効率化だ。

「ITは、実は一番苦手」と言う高橋弁護士だが、以来、IT関連の本を持ち歩き、裁判の待ち時間などに勉強した。

事務所のコンピューターに、高橋弁護士自ら、スタッフと情報を共有できるソフトを導入したのは2年前のこと。これにより、事務所に所属するすべての弁護士の日程を、全事務員がパソコン画面で簡単に確認できるようになった。

「それまで、急いで相談したいという人や、裁判の日程調整の電話があっても、弁護士が不在の時は、『帰ってから聞いてみます』と答えるしかありませんでした。今はその場ですぐ、時間を決められます」と事務員は言う。依頼者の情報もデータベースで管理され、事務作業が大幅にスピードアップした。

一方、訴訟が増え続ける現代では、高度な法的知識を身に着けた「パラリーガル」と呼ばれる事務員の育成が急務とされる。来年度には、その認定制度も開始される見込みだ。

「うちの事務所のスタッフは、多数の事件を経験しているので、知識も豊富です」。高橋弁護士が期待する事務員の一人、土山史夫さんは、いいかげんな受け答えをする消費者金融の業者に、利息に関する法律や判例を淡々と列挙し、対応を改めさせることもある。

「私たちのミスで弁護士の顔に泥を塗ってはならない。早く力をつけたいですね」と高嶋さんは話す。

さらに高橋弁護士は年初から、専門のコンサルタントと協力して、ミスを生まないシステムづくりに取り組んでいる。

「人間である以上、ミスはあります。たとえ1人がミスをしても、チェックできる仕組みが必要です。質の高いサービスを安定して提供できるよう、すべての業務を依頼者の視点から見直したいと思っています」

   *     *

第一線で活躍する弁護士の姿を、6回にわたって追いかけてきた。一般市民に親しまれる司法制度改革の必要性も叫ばれる中、仏心を体現した法律家たちの舞台はますます広がろうとしている。  (完)

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